現代歴史学の成果と課題(第4次)全3巻が刊行されました

現代歴史学の成果と課題第4次−3歴史学研究会より、『現代歴史学の成果と課題(第4次)』全3巻が刊行されました。第1次(1974年)、第2次(1982年)、第3次(2002年)に引き続き、「認識論的な問いと新自由主義という時代状況が重なる」2001年〜2015年までの現代歴史学の展開を主たる対象として、歴史学の方法,世界史像,歴史実践を中心軸に,歴史学の現在とその課題を照射することをめざしています。私は第3巻『歴史実践の現在』のなかで、「歴史修正主義とのたたかい」をめぐって、「歴史修正主義とその背景」と題して、日本とヨーロッパにおける歴史修正主義問題の展開を論じました。

各巻目次

第1巻 新自由主義時代の歴史学
序 論 歴史学の現在||2001〜2015年 大門正克
第1章 歴史把握の方法
1 新自由主義の時代と歴史学の課題 Ⅰ 小沢弘明/2 新自由主義の時代と歴史学の課題 Ⅱ 小野将/3 グローバル・ヒストリー 木畑洋一/ 4 下からのグローバル・ヒストリーに向けて 貴堂嘉之/5 植民地責任論 永原陽子/6 帝国主義と戦争 栗田禎子
第2章 「主体」の〈問い方〉をあらためて問い直す
1 ジェンダー Ⅰ 男性史とクィア史 藤野裕子/2 ジェンダー Ⅱ 植民地主義との交錯という視点から 安村直己/3 「民衆」の問い方を問い直す Ⅰ 朝鮮近現代史・日朝関係史から 慎蒼宇/4 「民衆」の問い方を問い直す Ⅱ 日本近世史研究から 若尾政希/5 サバルタン・スタディーズの射程 粟屋利江/6 カルチュラル・ターン後の歴史学と叙述 松原宏之
第3章 「生存」/「いのち」の歴史学
1 「生存」の歴史学 大門正克/2 「いのち」とジェンダーの歴史学 沢山美果子/3 福祉の歴史学 高田実/4 災害と生存の歴史学 倉地克直/5 所有と利用の関係史 沼尻晃伸/6 戦争/平和と生存 岡田泰平

第2巻 世界史像の再構成
第1章 歴史学と時空間
1 地域論・時代区分論の展開 岸本美緒/2 「東アジア」と「世界」の変質 廣瀬憲雄/3 中央ユーラシア史研究の展開 野田仁/4 イスラームと地域論 黒木英充/5 ヨーロッパ・アイデンティティ 加藤玄
第2章 社会統合/国家統合の動態
1 国民国家論以後の国家史/社会史研究 中澤達哉/2 「人のつながり」と中世日本 川戸貴史/3 身分論の新展開 横山百合子/4 社会統合と政治文化 高澤紀恵/5 性売買・日本軍「慰安婦」問題と国家・社会 小野沢あかね/6 感染症と権力をめぐる歴史学 飯島 渉/7 地域の歴史としての社会主義  池田嘉郎/8 国家統合と地域社会 三品英憲
第3章 社会階層と生活世界
1 民衆史研究・社会運動史・社会史研究と今日の歴史学 成田龍一/2 民衆と暴力 須田努/3 地域社会と民衆運動 松沢裕作/4 地域と生活世界の再編 西山暁義/5 植民地近代性 永野善子/6 グローバル格差と地域社会 鈴木茂

第3巻 歴史実践の現在
第1章 歴史学をとりまく環境 1 歴史修正主義とのたたかい
1 歴史修正主義とその背景 中野聡/2 人文・社会科学の危機と歴史学 久保亨/3 「慰安婦」問題をめぐる法廷闘争 加藤圭木
第2章 歴史学をとりまく環境 2 災害・地域変容
1 災害・環境と歴史学 矢田俊文/2 核災害と歴史学 中嶋久人/3 地域の変容と歴史学 岡田知弘
第3章 歴史運動の現在
1 地震・水害時の歴史資料保存活動の展開と地域歴史資料学の提起 奥村弘/2 アーカイブズをめぐる運動 瀬畑 源/3 歴史学と若手研究者問題 浅田進史・崎山直樹
第4章 史料・方法・歴史叙述
1 史料の読みはどう変わったか 大黒俊二/2 オーラル・ヒストリーと歴史学/歴史家 人見佐知子/3 出土史料は境界を越えることができるのか 李成市/4 陵墓問題の現在 高木博志/5 「実証」という方法 坂井博美/6 エゴ・ドキュメントという方法 長谷川貴彦/7 震災「後」の歴史学の課題と博物館展示 原山浩介/8 史学史と歴史叙述 戸邉秀明/9 史料保存から歴史教育,歴史研究へ 高橋修/10 書物を史料として歴史を読む 若尾政希/11 「現場」から組み立てる歴史学 石居人也/12 歴史教育と歴史叙述 今野日出晴
第5章 歴史教育の実践
1 転換期の高校歴史教育 油井大三郎/2 教育の現場から 小川輝光/3 教科書問題と歴史学 大串潤児/4 東アジアにおける共同歴史教材の現在 齋藤一晴