電子投票機不正疑惑 民主主義をハッキングする

アメリカの選挙、電子投票 (Electronic Voting)不正疑惑問題の続報です。いまやアメリカの選挙の8割から9割が電子投票になっているそうですが、この電子投票のソフトウェアに不正が組み込まれているのではないかという噂が絶えません。ソフトウェアの多くは各州の選挙法で守られいるので、どの会社や誰が作っているのかも分からないことが多いようです。 このブログでも紹介したBlack Box Votingというサイトを作って本も出しているBev Harrisの真相究明活動を追ったドキュメンタリー番組 Hacking DemocracyがHBOで放映されました(Hacking Democracy 番組紹介サイト)。デモクラシー・ナウでもこの番組を紹介して、Harrisをスタジオに招いてインタビューしています(デモクラシー・ナウ Hacking Democracyを紹介。2006/10/31放送)。 紹介されたドキュメンタリーの一部では、2000年の大統領選挙のときにフロリダのVolusiaというカウンティでなんとアル・ゴアの票数がマイナス(-16,022票)とカウントされたことが発見されていたそうです・・・。 番組を視聴できるリンク Tuesday, October 31st, 2006Hacking Democracy: New Documentary Exposes Vulnerability of Electronic Voting MachinesListen to Segment || Download Show mp3       Watch 128k stream  …

「勉強しないとイラク送り」選挙終盤のケリー失言 民主党に失点

選挙戦終盤、勢いを駆って上下両院での逆転多数確保を実現したい民主党に痛い失点。ケリー前大統領候補がカリフォルニア州知事選挙の応援演説で失言、終盤戦の選挙応援取りやめという事態にまで発展してしまいました。失言の内容と真相はかなり微妙です。 彼はこう言いました。"You know education, if you make the most of it, you study hard, you do your homework, and you make an effort to be smart, you can do well. If you don’t, you get stuck in Iraq." 「教育の大事さは皆さんも分かるでしょう。教育を最大限生かして、一所懸命勉強して、宿題をちゃんとやって、賢くなるための努力をすれば、うまくいくでしょう。でなければ、イラクで立ち往生することになるんです」。  勉学を怠って学歴社会で勝てなければ、軍隊にでも入るしかなくなって、あげくのはてにイラクに送られてしまうだろう、つまりひとことで言えば「勉強しないとイラク送りだよ!」って言うジョークを飛ばしてしまったことになります。 いまイラクに派遣されている14万人あまりの海兵隊や陸軍のような連邦軍にせよ、州兵にせよ、その多くの若者が、学力や学資不足で大学などに進学できない問題をかかえているのは事実であるだけに、イェール大学卒業エリート・ケリーのエリート臭が紛々と漂う発言は猛烈な反発を受けてしまいました。 投票日まで何事も起こらず現在の優勢を維持したい民主党でも共和党につけ込む隙を与えたケリーの失言は総スカンを食らい、ケリーは今後の選挙遊説を取りやめるハメに陥りました。…

アメリカの選挙はカウンティ毎に見なければわかりません(続)

アメリカに3000以上あるカウンティが、それぞれに選挙を運営していることを紹介しましたが、その続きです。 あてずっぽうにグーグルして出てきたカウンティを例にとってみましょう。フロリダ郡のシトラス・カウンティです(リゾート気分のところですね)。http://www.votecitrus.com/content.aspx?id=228&s=228    ここの場合、投票所が一カ所ずつ設けられている投票区(precinct)で見て、3種類の投票用紙・バロットがあることが分かります。下記をそれぞれクリックすると、見本投票用紙(サンプル・バロット)が出てきます。PDFファイルです。いかに1回の投票でたくさんの候補者や住民投票事項に投票しなければならないのかがよく分かります。大統領選挙のときは、これらの用紙の冒頭に大統領・副大統領候補欄が加わるのです。 どの候補者も、共和党・民主党・その他の順になっているのは何となく不公平な感じもします。これはこのカウンティでは共和党の登録人口が民主党のそれを上回っていることを理由にしているようですね(冒頭のページを見るとわかります)。実際の選挙では登録通りに人々が投票するわけではありません。とはいえ、迷ったり面倒くさがっている有権者のなかには、機械的に1番目に投票する人も多いだろうから、共和党有利ではないかと勘ぐってしまいたくもなります。 Sample Ballots General Election 2006 Sample Ballots All Precincts except 105, 409 & 410 City of Crystal River Precinct 105 only  City of Inverness Precincts 409 and 410 only  

マイケル・J・フォックス民主党候補応援CM問題 (続報あり)

マイケル・J・フォックス/CBSインタビュー番組に出演  「演技ではない。投薬もしている」と反論(CNN 2006/10/27)保守系ラジオのリンボー(Limbaugh)「恥知らずな演技・わざと薬のんでない」と攻撃(YouTube/ MSNBC 2006/10/27) フォックス民主党候補応援CM(YouTube)   パーキンソン病の俳優マイケル・J・フォックス(Michael J. Fox バック・トゥー・ザ・フューチャーが有名です)が、ミズーリ州から出馬している 民主党下院議員応援CMに出演して、体を大きく揺らがせる病状もあらわに、難病治療につながるとして注目されているヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究支持の民主党候補への支持を訴えて全米に大きな反響を呼びました。(サンケイWeb 2006/10/27)。 日本社会では考えにくいリアクションとして注目されるのは、すぐに保守系トーク・ラジオ番組ホストのリンボーがフォックスのことを「恥知らず(Shameless)」とまで呼んで攻撃したことです。フォックスが体を大きく揺らせているのは演技だ、あるいはわざと薬を飲まないで症状を出しているんだと決めつけたのです。何の根拠があって演技だと決めつけられるのだろう?などと思ってはいけません。彼は番組の後半で「ぼくが間違っていたら謝るよ」とつけ加えています。ただ、発言を取り消しているとか、本当に謝罪しているということではありません。 フォックスは取材に答えて、またCBSのインタビュー番組に出演して「演技ではない。投薬もしている。皮肉なことに投薬のし過ぎでこうなったんだ」と反論しました。世間の偏見のあらわれのひとつということでリンボーに直接、謝罪を求めることはしない姿勢です。また、共和党でES細胞研究を支持しているスペクター上院議員を応援したことなどを挙げて、党派的に動いているわけではないとも反論しています。CBSのインタビュー番組をホストした女性キャスターは父親がパーキンソン病で、彼女もフォックスの財団に寄付していることを番組の最後に明らかにしています。  このニュースからは、アメリカの選挙と政治のさまざまな側面が浮かび上がってきます。まず、フォックスが、「政治に関心はない」という立場をとりながら、ES細胞研究ひとつを争点として(いわゆるシングル・イシュー)個々の候補の応援CMに出ていること。建前から言えば、全米向けのCMに出てES細胞研究支持候補を応援しましょうと言うべきなのかもしれませんが、彼は個々の選挙結果に影響を与えることを望んでいて、さらにローカル放送で流されるに過ぎない候補応援CMが全米ネットワークの話題になって、タダで全米に放映される効果まで計算してCMに出演したに違いありません。 これに対して、何の根拠もなくフォックスを「恥知らず」な嘘つきだと攻撃して平然としているリンボーの姿勢は、迫る選挙で歴史的敗北を喫しそうな共和党が今まで頼りにしてきたキリスト教右派(自称モラル・マジョリティ)の宣伝の場である保守派トーク・ラジオ番組のスタイルがよく表れています。何も調べもせず、確認することもなく、「気にくわない事実」は「リベラルの陰謀」だとして一刀両断に切り捨てることをリンボーは保守的なリスナーたちに呼びかけているのです。その背後には、リスナーたちとリンボーが共有する反リベラル・反知性主義の空気があります。 先頃、ブッシュ大統領は就任後はじめて拒否権を行使してアメリカの学術機関によるES細胞研究への連邦政府の支出を認める法案を葬り去りました。全米の科学者は、先端医療さらにはアメリカの科学研究全体が世界から取り残されると危機感を抱いています。アメリカではこの問題は、もはや冷静に語り得る生命倫理を問う問題というよりは、中絶禁止問題と同様にキリスト教モラル・マジョリティの側に与するのかをめぐる踏み絵となってしまっています。今年のノーベル賞の科学部門をアメリカはほとんど独占しましたが、その国で中世への退行が始まっている、とは『週刊現代』で町山智浩氏が書いていますが、まさにその感が否めません。ノーベル賞委員会はそういうアメリカの現状に危機感をもって今年の賞でアメリカに奮発したのではないかというのが私の深読みです。 選挙が迫るにつれて、「結果が全て」「話題になった方が勝ち」のアメリカ政治文化を垣間見ることができるこのような出来事が次々と話題になることでしょう・・・。

告発される電子選挙不正 black box voting

電子投票機械の選挙不正を糾弾し、紙による投票用紙準備の義務づけを訴える運動のウェッブサイトを紹介します。  Black Box Voting http://www.blackboxvoting.org/ なぜこんなサイトがあるかというと・・・。 全米のカウンティの数は3033。いわば3033通りの選挙があると書きました。 でも、投票用紙の種類はもっと多くなります。 空白の投票用紙に自筆で候補者名や政党名を記入する日本と違い、アメリカでは、あらかじめ候補者名や投票項目が印刷された投票用紙を使います。しかも基本的には「ひとつ」の投票用紙に複数の、10項目以上にわたる公職選挙や住民投票案件の投票事項が印刷されています。この内容がカウンティ毎に異なってきます。 しかも国政(連邦)選挙の選挙区(下院議員)とカウンティは一致していません。カウンティのなかで複数の投票用紙を準備する必要が出てくることがあるのです。 こうして、目眩がするような種類の投票用紙が必要になってきます。投票する有権者の側もたまったものではありません。1回の投票に大変な時間がかかってしまいます。しかも集中力が必要とされるのです。   このような問題を解決するために、機械による投票が第二次世界大戦後のアメリカでは普及してきました。これまた様々の種類のユニークな投票機械が制作されてきたのです。  近年は電子投票(機械)が急速に普及してきました。複雑多様な投票用紙をこの際廃止して、臨機応変に柔軟な投票項目がプログラムできるという謳い文句に惹かれて各州・カウンティで導入が進んでいます。  その一方、紙の投票用紙が残らないような選挙をして大丈夫なのかという疑問の声もあがり、また実際にプログラム・ミスによるトラブルも頻発しています。電子投票機械のメーカーは共和党系で選挙不正に手を貸しているという風聞も絶えないのです。いや、風聞とは言えません。だからこんなサイトができるのです。  電子投票機械の選挙不正を糾弾し、紙による投票用紙準備の義務づけを訴える運動のウェッブサイト Black Box Voting http://www.blackboxvoting.org/

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