太平洋世界の中のアメリカ

本書は、アメリカと他の太平洋諸国の多面的な関係とその変容過程を、歴史、政治外交、安全保障、経済・環境、社会情報、文化などの諸側面に注目して、学際的に検討することによって、太平洋地域とアメリカとの関係を総合的に展望しようとする叢書『変貌するアメリカ太平洋世界』の第1巻で、太平洋世界を構成するアメリカと他の主体とのせめぎ合いを、過去と現在の両面から検討しています。中野は「『彼らの自助を助けるために』―冷戦期アジア太平洋におけるコミュニティ・ディベロップメントの論理と現実―」という論文で、アメリカ南部で黒人農村を対象とする自助支援事業を行なっていた黒人社会学者アーネスト・ニールが、冷戦期に対外援助事業専門家に転身して、主としてフィリピンの農村開発事業に関わった経緯を中心に、コミュニティ・ディベロップメント事業の中核的なアイデアとなった自助支援の論理と現実、アメリカ南部と第三世界の経験の互換性や相互浸透性について検討しました。 版元ドット・コム紹介ページ

近現代フィリピン・日本関係史

近現代フィリピン・日本関係史

本書は、日比両国の研究者が結集して編んだ、両国関係史についての初めての本格的な国際共同研究の成果論文集です。東南アジアで日本と地理的に最も近いフィリピンと日本は、「戦争と平和の20世紀」を通じて、経済交流、移民、安全保障、戦争、戦後賠償、信頼醸成などをめぐって、まさに波瀾万丈の歴史を営んできました。とくに本書から浮かびあがってくるのは、両国関係が、アメリカを筆頭に中国や東南アジア諸国などを含む多国間関係と不可分に営まれてきたことです。この観点から本書では、本格的な学術研究としては初めて、近現代の日比経済交流史を多国間関係の中に位置づける試みがなされています。

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