法の下の平等と市民権

近代市民社会における「全て人は法の下に平等」の法理における「人」が各国の憲法においてどのように記述され、解釈されてきたかという問題は、国民国家におけるシティズンシップの問題を考えるうで最も重要な主題のひとつです。 合衆国憲法14条第1項は、州が「何人」any personからも「法の平等な保護」を受ける権利を奪ってはならないと規定しており、その限りでは普遍的な平等保護原則を謳っています。しかし同条項の前段が合衆国市民権の規定となっていて「合衆国において生まれたまたは帰化した全ての人は・・・合衆国市民である」としており、さらに「合衆国市民の特権または免除」を奪ってはならないとしているために、権利保護の範囲と国民・市民権の境界の関係性が問題とならざるを得ないのです。 Amendment XIV Section 1. All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the state wherein they reside. No state shall make or…

米海兵隊員1名に有罪評決 フィリピン スービック自由貿易区強姦事件

2006年12月4日、フィリピン・デイりー・インクワイアラーその他の報道からの抜粋です。 スービック自由貿易区で2005年11月にフィリピン人女性を強姦した罪で起訴されていたダニエル・スミス被告(ミズーリ州セントルイス出身)に、マカティ地裁139合法廷のベンジャミン・ポゾン判事が有罪評決をくだしました。懲役40年の刑が宣告される可能性があります。罰金合計55万ペソ(約125万円)の支払いも命じられました。起訴されていた他の3名(強姦した被告を煽ったと言われている)には証拠不十分の無罪評決がありました。ポゾン判事はスミス被告をアメリカの管轄下ではなくマカティ市刑務所に送るよう命令しました。

フィリピン「反乱罪」追及あいつぐ

フィリピンで2月の政変未遂劇を乗り切ったアロヨ政権による「反乱罪」の追及が厳しさを増しています。「逃亡」していたホナサン元大佐・元上院議員が拘束されました(ホナサン大佐は1986年のピープル・パワー政変劇のきっかけをつくったひとり。国軍改革派のリーダーとしてアキノ政権に対するクーデター未遂を繰り返したことでも追及された過去があります)。 フィリピンの左翼系政治学者として知られるフランシスコ・ネメンゾ博士(前フィリピン大学学長)も「反乱罪」で訴追されました。国軍改革派の若手と懇談したことが、反乱の共謀であるとして告発されたのです。反マルコス運動では最左翼の学者として活躍したネメンゾ博士は、国際基督教大学ICUで教鞭をとり、日本人学生を育てたことでも知られています。近年は共産党・NPAだけでなく国軍改革派の若手将校に国家再生の期待を繋ぐ発言をしていたことでも知られています。このようにラディカルな政治学者がフィリピン大学学長職についたことは、マルコス戒厳令の時代から考えれば隔世の感があり、また、フィリピン市民社会のある種の成熟を示すものとして歓迎されたものです。 いずれにせよ、学者が軍人と懇談しただけで「反乱罪」で告発されるのではたまりません。学問の自由に対しても深刻な恫喝でもあります。憂慮するフィリピン、日本、アメリカの研究者たちが公正な裁判と学問の自由の擁護を訴える請願に署名活動をしています。 ネメンゾ博士自身が「反乱罪」連座についてのステートメントを発表していますので、ここに原文のまま掲載させていただくことにします。

視覚表象と集合的記憶:歴史・現在・戦争

視覚表象と集合的記憶:歴史・現在・戦争

本書は2002年4月から3年間にわたって続けられた一橋大学大学院社会学研究科の先端課題研究「視覚表象と文化的記憶」の成果論文集です。 中野は論文「日本・フィリピン戦没者追悼問題の過去と現在――慰霊の平和とアムネシア」を寄稿しました。 本書各論文のタイトルは次の通りです。若手を中心に多彩な論文が掲載されていますので是非お目通し下さい。 第1部 記憶(歴史研究における視覚表象と集合的記憶;過去に眼差す―その社会学的考察のために)

ヤング・アダルト世代(18-29歳)が民主党大勝の決め手

民主党の大勝に終わったアメリカ中間選挙に関連して、デモクラシー・ナウが出口調査をもとにした結果分析の座談会を行っています。主要な原因として、(1)マイノリティ(黒人、ラティノ)の投票者の増加と民主党へのシフト、(2)宗教票がたんに棄権にまわるだけでなく、民主党に投票をした層がいたこと、(3)ヤング・アダルト世代(18歳から29歳)の投票者数が前回2004年の選挙時の800万人から200万人増加したこと、他のどのグループ解析よりも、ヤング・アダルト世代については民主党支持が高いことが民主党勝利に大きく貢献した、と指摘しています。(2)については、いわゆるValue Votersとして前回選挙で共和党を組織票として支えたことが指摘されていたわけですが、出口調査では政治腐敗に対する批判がきわめて強かったことが明らかになっているようです。やはり、ワシントンDCのロビイングをめぐる政治腐敗(アブラーモフ事件)の影響が大きかったということでしょう。ヤング・アダルト世代はコメディ・セントラル、デイリー・ショウの視聴者でもあります。デイリー・ショウのジョン・スチュワートが(フェイク・ニュースショウであるにもかかわらず)この世代でもっとも信頼されているキャスターだという調査が話題を集めたこともありました。色々な意味で、アメリカの議会史にとって重要な意味をもつ選挙だったと言うことができそうです。 デモクラシー・ナウでの投票結果分析座談会は下記でスクリプトを読んだり、視聴できます。 http://www.democracynow.org/article.pl?sid=06/11/10/1426225 Friday, November 10th, 2006Who Voted and Why? A Roundtable Discussion on the Ethnic, Religious and Social Makeup of Voters in the ElectionsListen to Segment || Download Show mp3       Watch 128k stream    …

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