ゲイ権利運動とアメリカ政治─クロゼット・カミングアウト・アウティング─
またまたなぜ私が?と思われるかもしれませんが、「現代アメリカ社会においてセクシュアリティが政治化するのはなぜか」という問いを中心に、ゲイ権利運動について論文を執筆する機会をいただきました。
<本文から>
エスニシティや性別におけるマイノリティとしての人種・民族集団や女性とは異なり、ゲイは、そのセクシュアリティを内面において自覚した時点でそのことは他者に知られておらず、またそれを秘匿することがひとまず可能であり、自ら暴露すなわちカムアウト(come out)するか、露見しない限り、社会的にはゲイとは見なされない。そして、カムアウトするか、クロゼット(closeted/ the closet自らのセクシュアリティを隠すこと、隠す者たち)であり続けるかは、ミルクの当時も現在も、個人に押しつけられた選択の問題であり続けている。そこで本章では、クロゼットとカミングアウト(カムアウトすること)、そして、近年、ゲイをめぐるアメリカ政治で論争を呼んでいるアウティング(outing クロゼットがゲイであことを社会に暴露すること)の三つの言葉を手がかりとして、現代アメリカ社会においてセクシュアリティが政治化していることの意味を考えてみたい。
<書誌情報>
ゲイ権利運動とアメリカ政治──クロゼット、カミングアウト、アウティング」木本喜美子・貴堂嘉之編『ジェンダーと社会──男性史・軍隊・セクシュアリティ』(旬報社、2010年6月15日、397頁):215-237頁。共著者、木本喜美子、貴堂嘉之、加藤千香子、海妻径子、兼子歩、井川ちとせ、シンシア・コウバーン、佐藤文香、中村江里、ダイアン・リチャードソン、巌本新奈、森田麻美、権慈玉、鈴木周太郎、赤石憲昭、坂なつこ。
http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/598
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