宗教戦争のアメリカ(2) ムスリム議員 就任宣誓コーラン使用で大もめ

アメリカで初めてのムスリム(イスラム教徒)下院議員として当選したキース・エリソン(Keith Ellison)氏が、1月に連邦議会で行う就任宣誓にイスラム教徒としてコーランを使用する意向を表明して大騒ぎになりました。 就任宣誓といえば聖書(バイブル)の上に手を置いてやるもんだろうが!というのが、保守派からの反発の声です。 興味深いのはエリソン氏に最初にクレームを入れたのが、ロサンゼルスで保守派のトーク・ラジオ・ホストをしているユダヤ系のデニス・プレーガーという人物だったということです。彼は次のように叫んでいます。

宗教戦争のアメリカ(1) ツリー撤去で大もめ

宗教戦争のアメリカ(1) ツリー撤去で大もめ

シアトル国際空港のクリスマス・ツリーが撤去され、すぐにまた元に戻されるという騒ぎが日本でも報道されました。この空港のツリーには以前から(恐らくは同じユダヤ教のラビから)クレームがあったらしく、すでに天使の飾りなどキリスト教的な飾りは取り付けられていなかったそうです。

Extraordinary Rendition (特例拘置引き渡し)問題

ブッシュ政権の対テロ戦争をめぐる人権侵害については映画「グアンタナモ 僕たちが見た真実」で再現されているパキスタン系英国人青年たち(パキスタンから観光でアフガニスタンに入国したところタリバンの支配地区にいたことから対テロ容疑者としてグアンタナモに送られてしまった例(ひとりはアフガニスタンで行方不明になったまま)。シリア系カナダ人で、2002年NYのJFK空港で米当局に拘束され、シリアに送られて10ヶ月以上拘留され拷問を受けたマハール・アラール(Maher Arar)さんなど、数え切れないほどの例が報道されています。レバノン系ドイツ人のハリッド・エルマスリ(Khalid El-Masri)さんは、たまたまアルカイダ系のAl-Masri容疑者と名前が似ていたことから、休暇中にマケドニアの国境警備隊に拘束され、そこからバグダッドをへてアフガニスタンに送られてCIAに拘留され拷問を受けました。この件についてはアメリカでもっとも歴史のある人権教護団体 アメリカ市民自由連盟(American Civil Liberties Union ACLU)が全面的にバックアップしてCIA長官を相手取った訴訟が進行中です。 これらはいずれも令状なしの逮捕、裁判なしの拘留、他国への引き渡しをめぐるもので、Extraordinary Rendition(特例拘置引き渡し)と呼ばれる措置をめぐる問題とされています。ACLUがくわしく事情を解説しています。 ACLU Extraordinary Rendition 裁判関連 http://www.aclu.org/safefree/torture/rendition.html Extraordinary Renditionとは?wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Extraordinary_rendition ハリッド・エルマスリさん拘留問題 http://en.wikipedia.org/wiki/Khalid_El-Masri

ブッシュ政権の人権侵害に対する刑事告発の動き

アメリカの人権擁護団体のあいだで、ブッシュ政権の対テロ戦争関連の人権侵害を刑事告発する動きが強まっています。一連の連邦最高裁判所判決が、対テロ戦争にジュネーヴ条約が適用されないとするブッシュ政権の判断を否定したことや、11月の中間選挙で民主党が議会多数を獲得したことがある種の追い風になっています。その一方、中間選挙を前に連邦議会/ブッシュ政権は2006年軍法(Military Commission Act of 2006)で、一連のジュネーヴ条約無視を合法化し、さらに対テロ戦争に関連して大統領が認めた場合には、逮捕状・裁判なしの無期限拘留を認め、とくにアメリカ国籍の無い者には合衆国憲法で認められていたはずのhabeas corpus人身保護令の適用も除外するという、ちょっとにわかには信じがたい悪法を成立させてしまっています。そこでアメリカの人権擁護団体Center for Contstitutional Rightsは、ドイツの裁判所にアメリカの戦争犯罪を刑事告発するという手段に訴えました。

法の下の平等と市民権

近代市民社会における「全て人は法の下に平等」の法理における「人」が各国の憲法においてどのように記述され、解釈されてきたかという問題は、国民国家におけるシティズンシップの問題を考えるうで最も重要な主題のひとつです。 合衆国憲法14条第1項は、州が「何人」any personからも「法の平等な保護」を受ける権利を奪ってはならないと規定しており、その限りでは普遍的な平等保護原則を謳っています。しかし同条項の前段が合衆国市民権の規定となっていて「合衆国において生まれたまたは帰化した全ての人は・・・合衆国市民である」としており、さらに「合衆国市民の特権または免除」を奪ってはならないとしているために、権利保護の範囲と国民・市民権の境界の関係性が問題とならざるを得ないのです。 Amendment XIV Section 1. All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the state wherein they reside. No state shall make or…

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