太平洋世界の中のアメリカ
本書は、アメリカと他の太平洋諸国の多面的な関係とその変容過程を、歴史、政治外交、安全保障、経済・環境、社会情報、文化などの諸側面に注目して、学際的に検討することによって、太平洋地域とアメリカとの関係を総合的に展望しようとする叢書『変貌するアメリカ太平洋世界』の第1巻で、太平洋世界を構成するアメリカと他の主体とのせめぎ合いを、過去と現在の両面から検討しています。中野は「『彼らの自助を助けるために』―冷戦期アジア太平洋におけるコミュニティ・ディベロップメントの論理と現実―」という論文で、アメリカ南部で黒人農村を対象とする自助支援事業を行なっていた黒人社会学者アーネスト・ニールが、冷戦期に対外援助事業専門家に転身して、主としてフィリピンの農村開発事業に関わった経緯を中心に、コミュニティ・ディベロップメント事業の中核的なアイデアとなった自助支援の論理と現実、アメリカ南部と第三世界の経験の互換性や相互浸透性について検討しました。
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