天皇皇后両陛下フィリピン訪問
[フィリピン無名戦没者の碑に供花・黙礼する天皇皇后両陛下。2016年1月27日。YouTube/AFP通信社] [カリラヤ比島戦没者の碑に供花・黙礼する天皇皇后両陛下。2016年1月29日。YouTube/AFP通信社] 天皇皇后両陛下が2016年1月26日より5日間、フィリピン共和国を国賓としてご訪問されました。 出発の「おことば」で天皇陛下は「マニラ市街戦」で「膨大な数に及ぶ無辜(むこ)のフィリピン市民が犠牲になりました」と言及され、 マニラの歓迎晩餐会でも「貴国の国内において日米両国間の熾烈しれつな戦闘が行われ,このことにより貴国の多くの人が命を失い,傷つきました。このことは,私ども日本人が決して忘れてはならないこと」だと述べられました。 この訪問が、戦争を知らない世代がフィリピンと日本の過去を知り、将来に向けてより質の高い和解に向かう契機となることを期待しています。 このウェブサイトには日本・フィリピン関係史の関連情報を掲載しておりますのでどうぞご覧下さい。 関連リンク: 宮内庁発表資料 外務省発表資料 アジア・太平洋戦争とフィリピン フィリピン史簡易年表 「追悼の政治」(ウェブ公開版) 和解と忘却(1) 和解と忘却(2)
和解と忘却――戦争の記憶をめぐる日本・フィリピン関係の光と影―― (1)和解と忘却
(2015年12月27日転載) (注)本稿は岩波書店『思想』2005年12月号掲載論文をあらたにウェッブ掲載用に改題・改稿したものです 1 はじめに 2005年・戦後60年を迎えた北東アジアの国際関係は、ふたたび、歴史教科書や小泉純一郎首相の靖国参拝を焦点とする「歴史問題」で混迷を深めた。 この問題では、近隣諸国の理解を得られない小泉首相や日本人の独断的な行動や説明不足が批判されているのであるが、視点を変えると、近隣諸国の側にも日本との対話方法をめぐるとまどいがあるように思われる。はたしてアジア諸国は日本のふるまいに対してどんなメッセージを発してきたのだろうか、また、発するべきなのだろうか?この観点から注目できる国のひとつが、戦後日本(人)への語りかけ方という点で劇的な変化を見せてきた国、フィリピンである。小論では、その変化のあり方を検討することによって、アジア諸国と戦後日本の対話――あるいは対話の欠如――の構図の一端を浮かび上がらせてみたい。
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